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109回 ノギラン(野の花写真図鑑)

2021/ 07/ 25
                 
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 山地の崖下、湿原の周辺など、日当たりは良いがやや湿った場所に生えるキンコウカ科ノギラン属の多年草で、北海道~九州まで広く分布しています。(2010.07.18 兵庫県神戸市)


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 葉は根生し、葉身は長さ6~20㎝の倒披針形で、10枚前後がロゼット状に広がっています。(2018.07.02 神戸市)


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 花期は6~8月頃で、高さ20~50㎝の花軸を伸ばし、その上部に細長い総状花序をつけ、多数の花を咲かせます。花茎は分枝しないものが多いが、2~3個に分枝するものもあります。(2010.07.18 神戸市)


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 花序は淡黄褐色のものが多く、下から咲き上がります。(2011.07.16 神戸市)


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 黄緑色を帯びた花序も少なくはなく、半日陰地で見られます。(2018.07.15 兵庫県宝塚市)


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 花序の蕾(つぼみ)の部分です。花序軸には微細な毛が密生し、粉を吹いたように見えます。花柄の基部には線形の苞葉があり、長さ3㎜ほどの花柄の途中には鱗片状の小苞があります。(2013.07.02 宝塚市)


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 花は直径10~12㎜(実測例)で、斜め上~横向きに開きます。花被片は線状披針形で、外側に反り返ります。そのため、花被片よりも短い雄しべは、花冠から突き出てよく目立ちます。((2006.07.10 宝塚市)


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 花は6数性で、花被片6個、雄しべ6個、雌しべの子房には6稜があります。(2010.07.18 神戸市)


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 子房の先には嘴(くちばし)状の花柱があり、柱頭は短く3裂します。(2006.07.10 宝塚市)


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 淡黄褐色の花序についた花です。基本的には黄緑色を帯びた花序の花と同じだが、花被片や子房は、わずかに褐色~紅色を帯びます。(2010.07.18 神戸市)


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 果実は長さ6~8㎜の楕円体で、頂部には嘴状の花柱がついています。果期になっても、花被片も残っています。(2012.09.13 神戸市)


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 褐色に成熟した果実は頂部から3裂し、10~70個(実測例)の種子をこぼします。(2012.01.07 神戸市)


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 種子は長さ0.7㎜ほどで、光沢のある茶褐色の紡錘形をしており、表面には縦溝と多数の突起があります。(2012.10.09 撮影)


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             (チヂミザサ:2016.09.04 宝塚市)

 和名は、線状披針形の花被片や花冠から突き出た雄しべや雌しべが、芒(のぎ)のように見え、全体がランの花を思わせることに由来します。

  芒(のぎ):イネやムギなどイネ科の植物で、花の外側の穎(えい)の先端にある
         針状の突起



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        (キンコウカ(金黄花):2005.06.28 六甲高山植物園/神戸市)

 学名はMetanarthecium luteovirideで、属名はギリシャ語の(μετα(meta=その後に、その後))+(Narthecium=キンコウカ属)からなり、かってはキンコウカ属に分類されていたが、後にノギラン属に変更されたことを表しています。種小名は、ラテン語luteolus(黄色がかった)+viridis(緑色の)からなり、「黄緑色の」という意味合いで、花序あるいは花の色を表していると思われます。

参考文献
山に咲く花(山渓ハンディ図鑑2、山と渓谷社)
世界大百科事典(平凡社)
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